2022-01-01から1年間の記事一覧

紹介 武器を持たないチョウの戦い方

武器を持たないチョウの戦い方: ライバルの見えない世界で (新・動物記 2) 作者:竹内 剛 京都大学学術出版会 Amazon 実験材料としてチョウはとにかく難しい。行動圏が広いから野外では継続的に研究できないのが普通である。たいていの人はモンシロチョウやイ…

紹介 ようこそ地球さん

ようこそ地球さん(新潮文庫) 作者:星 新一 新潮社 Amazon 紹介するまでもなく星新一のショート集。世界観もさりながら文章のスピード感と無駄のなさに感心する。時代のせいか本書は陰鬱なストーリーが多く読み進めるのが辛かった話もあるけど、なんとか読…

職場復帰

六月上旬から八月いっぱい休暇をいただきました。ガッツリ体力を削られました。まだ全く本調子ではないですが(今日のPCRでも分量間違えまくり)、ぼちぼちやっていこうかと思います。 最近、自分は本当はなにがやりたいんだろうと考えます。ともかく、年末…

紹介 コーヒーの科学

コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス) 作者:旦部幸博 講談社 Amazon 植物学、含有成分、トレードの歴史、ドリップ方式といった、コーヒーのすべての分野を網羅する意欲的な本である。マニアックな知識にクラクラしながら読み進…

紹介 ケーキの切れない非行少年たち

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書) 作者:宮口幸治 新潮社 Amazon 過去のベストセラー。自分に直接関わらないことなので気楽に読みすすめることができた。罪を犯す少年が周囲の状況を正しく認知することができない障害を持っていることがよくあるとい…

街中

先月に引き続き休養中です。今日はスケッチをしました。 洋風の定食屋に入ったら中身はラーメンばかりの中華でした。すごくしょっぱい。外装だけだったか。少し後悔しました。

紹介 音盤紀行

音盤紀行 1 (青騎士コミックス) 作者:毛塚 了一郎 KADOKAWA Amazon 私の最近の書評が小難しいという感想をもらったので今回は漫画の話。最近は店頭の漫画も知らないものばかりなのでなかなか読めないが、衝動買いすることもある。最近の漫画では『ウマ娘』…

紹介 性の進化史

性の進化史 (新潮選書) 作者:松田 洋一 新潮社 Amazon Y染色体の由来と退化について述べた本である。細胞遺伝学の知識がいるので読みこなすのが大変だったが興味深い内容だった。 現代人は精子の数が激減しているという。進化を学ぶ者としては一夫一妻が一因…

紹介 魚毒植物

魚毒植物 作者:盛口 満 南方新社 Amazon 毒を水に流して魚を取る漁法がある。かつては全国にあったらしいが、無差別に水圏生物を殺すので現代では禁止となっている。この本は琉球列島を中心にリサーチしてどのような植物がどのように魚毒に利用されていたか…

紹介 津田梅子

津田梅子: 科学への道、大学の夢 作者:古川 安 東京大学出版会 Amazon 正直なところ津田梅子は津田塾の創始者という程度しか知らなかったが、この本でだいぶ考えが変わった。生物学者としての素養を持ち、染色体地図のモーガンの薫陶を受けて共同研究をして…

紹介 フォン・ノイマンの哲学

フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書) 作者:高橋昌一郎 講談社 Amazon この本はノイマンの理論は最小限に、彼の社会とのつながりや人間関係、政治的活躍に焦点をあてた(ややゴシップめいた話も多い)読みやすい新書であり、WWIIや…

紹介 そもそも島に進化あり

そもそも島に進化あり (生物ミステリー) 作者:川上 和人 技術評論社 Amazon 筆者は鳥類学者ということで、島しょ部での鳥の進化に期待して購入してみた。一読した感想は・・・ちょっと期待したものとは違うかな。このタイトルだと正当な島嶼生物学を想像する…

紹介 図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?

図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?: 生きものの“同定"でつまずく理由を考えてみる 作者:須黒 達巳 ベレ出版 Amazon 自分の専門でも「なんとなくこうだから」という説明をせざるをえないことがある。学生と一緒の野外採集で「こういうのはいかにもEote…

紹介 寄生生物の果てしなき進化

寄生生物の果てしなき進化 作者:トゥオマス・アイヴェロ 草思社 Amazon さまざまな寄生虫のトピックに関する科学エッセイ。農耕の開始とともに寄生虫との付き合いが深まった話や、シルクロードの開通とともにラクダが活躍してペストを広めた話、食生活の変化…

紹介 豆くう人々

豆くう人々: 世界の豆探訪記 作者:長谷川清美 農山漁村文化協会 Amazon 著者は遠軽の豆専門店に生まれ、豆を愛し、あらゆる豆と豆料理を求めて世界を旅している。その偏愛たるや掲載されているだけで南米からアフリカ、アジアまで30カ国におよぶ。恐るべし。…

紹介 石の花(1)

石の花(KADOKAWA版) 1 (青騎士コミックス) 作者:坂口 尚 KADOKAWA Amazon 坂口尚をリアルタイムで知っているわけではない。学生寮の本棚にあったような気がするが定かではない。安彦良和の『虹色のトロツキー』と混同しているかもしれない。ただ、たしかに…

紹介 はずれ者が進化をつくる

はずれ者が進化をつくる --生き物をめぐる個性の秘密 (ちくまプリマー新書)作者:稲垣 栄洋筑摩書房Amazon 対象は中学生くらいだろうか。読破に時間はかからないだろう。 雑草学者の観点から、個性や多様性の大切さを語る内容である。そして平均よりバラツキ…

紹介:読む・打つ・書く

読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々 作者:三中 信宏 東京大学出版会 Amazon 一言で言うと「本への偏愛」というところだろうか。こんなに本自体を語る本を見たことはない。本屋の平積みで、読む方法や書く方法について語られる本は…