2023-01-01から1年間の記事一覧

紹介 巨大おけを絶やすな!

小豆島の醤油は本当にうまい。四国に住んでいるからそれはよくわかる。しかし、発酵過程に伝統的な木の樽を使って熟成している蔵は全国的に少なくなってしまった。この本では醤油の蔵元が使っていた桶が破損してから、桶を自分たちの手で再生して地域おこし…

紹介 パディントン発4.50

パディントン発4時50分 ミス・マープル (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,松下 祥子 早川書房 Amazon 再読。本作のマープルは徹底的に安楽椅子探偵を決め込んでいる。列車の並走時に殺人が見えたという友人の話から、沿線の大屋敷に目をつけ、…

紹介 寄生虫を守りたい

寄生虫を守りたい 作者:佐々木 瑞希 dZERO Amazon 寄生虫(とくに吸虫)への偏愛に満ちた本である。読みやすくてユーモアに溢れており、楽しそうな様子が伝わってくる。私は冬場に湖沼に集まったカモの観察を楽しんでほっこりするのだが、そのような光景を見…

紹介 晩酌の誕生

大昔は酒盛りは神事と結びついていたが、時代が下るにつれて家飲みがさかんになっていき、江戸時代ともなると今とあまりかわらない酒が嗜まれた。本書ではお江戸の晩酌事情が細かく紹介されている。江戸の風俗画が豊富なので目にも楽しい。酒の肴として欠か…

紹介 ダーウィンの呪い

ダーウィンの呪い (講談社現代新書) 作者:千葉聡 講談社 Amazon 名著『招かれた天敵』を上梓した著者の渾身の作品。ダーウィンの伝記が描かれるものと期待していたのだが、内容はダーウィンのもたらした負の側面、優生学が多くを占めている。正直なところ、…

紹介 青い壺

無名の陶芸家が焼き上げた青磁が、たどり着く場所で様々な人間模様に出会う。こう書いてしまうと平凡だが、話のたびに舞台が大きく入れ替わるので読んでて飽きない。向田邦子と似ているところもある。私が面白かったのは後半の修道女、シスター・マグダレナ…

紹介 「死んだふり」で生きのびる

「死んだふり」で生きのびる 生き物たちの奇妙な戦略 (岩波科学ライブラリー 314) 作者:宮竹 貴久 岩波書店 Amazon 死んだふりが捕食回避であることは古くから予想されていたが、いざ実証してみよとなると難しい。この問題に取り組んだ著者の研究の足跡を記…

【祝】ありがとう19周年

よりぬきカツラくんはおかげさまで19周年を迎えました。 ブログの全盛期は過ぎても、ここは大切にしていきたいと思います。 2010年前後に書いていた点取り占いもまた復活させていくつもりです。 今後ともよろしくおねがいします! ちなみにもうナンコクには…

紹介 ころぶところがる

自転車漫画ということで、自転車に興味ない自分についていけるかなと心配していたが、その心配を超越するような内容だった。ネタバレはしたくないが、玄奘がロードバイクを背景にして祈る扉絵をみたときは「マトモじゃない漫画」という確信を抱かせるものだ…

紹介 家畜化という進化

家畜化という進化ー人間はいかに動物を変えたか 作者:リチャード・C・フランシス 白揚社 Amazon ダーウィンの『種の起源』は家畜や家禽の多様性の話で幕を開ける。私たちの最も身近にいる生き物として、家畜は多くの人が興味を持つ対象だろう。そのルーツを…

紹介 招かれた天敵

招かれた天敵――生物多様性が生んだ夢と罠 作者:千葉聡 みすず書房 Amazon 応用昆虫学の本でこれほど濃厚な本は読んだことがない。生物進化と生物多様性の観点から、生物的防除の有名な事例の背景と結果をじっくりと描いている。そのため、教科書の一覧表のよ…

紹介 貴族探偵

貴族探偵 (集英社文庫) 作者:麻耶雄嵩 集英社 Amazon 専門的な本が続いたので今日は軽めに。推理しない貴族が探偵で、実際の推理はメイドや運転手が行うというもの。この著者はこういう変則的な話が得意だ。5篇のショートストーリーから構成されている。文庫…

紹介 昆虫の交尾は味わい深い…。

昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー) 作者:上村 佳孝 岩波書店 Amazon 昆虫のペニスへの偏愛が感じられる本である。まさに昆虫【交尾】博士である。内容は理知的なもので、多くの昆虫で交尾にまつわる新発見を写真とともに淡々と述べている…

紹介 ネアンデルタール人は私たちと交配した

ネアンデルタール人は私たちと交配した (文春e-book) 作者:スヴァンテ・ペーボ 文藝春秋 Amazon ネアンデルタール人のゲノム解析でノーベル賞を受賞したペーボの著書。2015年の著書なので今はさらに進展していることだろう。 もともとエジプト考古学に興味が…

紹介 文にあたる

文にあたる 作者:牟田都子 亜紀書房 Amazon 論文がアクセプトされても、最後の一仕事となるのが著者校正である。これが忙しいときに限って着弾して、48時間以内に返送してくださいと来る。誠に腹立たしい。 そういうわけで、いままで校正という仕事について…