紹介 ころぶところがる

ころぶところがる (少年サンデーコミックススペシャル)

自転車漫画ということで、自転車に興味ない自分についていけるかなと心配していたが、その心配を超越するような内容だった。ネタバレはしたくないが、玄奘がロードバイクを背景にして祈る扉絵をみたときは「マトモじゃない漫画」という確信を抱かせるものだった。

 自転車関係の雑誌に載っていたせいもあり、自転車や模型の素描は相当マニアック。黒田硫黄の趣味全開の漫画といえるだろう。この「熱さ」についていけるかどうかは読者次第であり私は何度も挫折しかかった。そしていつものように投げっぱなしのエンディング。読者を「いまのは何だったんだ」という心境へ放り出す。

 自転車関係では『茄子』のエピソードのほうがわかりやすいので、こちらから読んだほうがいいかもしれない。ちなみに『茄子』のしんみりする畳み方は読んだ中では一番好きである。