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紹介 統計分布を知れば世界が

今年も雑多な本の感想やらなんやらをボチボチ更新していきますので、どうかよろしくおねがいします。 統計分布を知れば世界が分かる 身長・体重から格差問題まで (中公新書) 作者:松下貢 中央公論新社 Amazon 正規分布、べき乗則、対数正規についてコンパク…

紹介 巨大おけを絶やすな!

小豆島の醤油は本当にうまい。四国に住んでいるからそれはよくわかる。しかし、発酵過程に伝統的な木の樽を使って熟成している蔵は全国的に少なくなってしまった。この本では醤油の蔵元が使っていた桶が破損してから、桶を自分たちの手で再生して地域おこし…

紹介 招かれた天敵

招かれた天敵――生物多様性が生んだ夢と罠 作者:千葉聡 みすず書房 Amazon 応用昆虫学の本でこれほど濃厚な本は読んだことがない。生物進化と生物多様性の観点から、生物的防除の有名な事例の背景と結果をじっくりと描いている。そのため、教科書の一覧表のよ…

紹介 昆虫の交尾は味わい深い…。

昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー) 作者:上村 佳孝 岩波書店 Amazon 昆虫のペニスへの偏愛が感じられる本である。まさに昆虫【交尾】博士である。内容は理知的なもので、多くの昆虫で交尾にまつわる新発見を写真とともに淡々と述べている…

紹介 ネアンデルタール人は私たちと交配した

ネアンデルタール人は私たちと交配した (文春e-book) 作者:スヴァンテ・ペーボ 文藝春秋 Amazon ネアンデルタール人のゲノム解析でノーベル賞を受賞したペーボの著書。2015年の著書なので今はさらに進展していることだろう。 もともとエジプト考古学に興味が…

紹介 武器を持たないチョウの戦い方

武器を持たないチョウの戦い方: ライバルの見えない世界で (新・動物記 2) 作者:竹内 剛 京都大学学術出版会 Amazon 実験材料としてチョウはとにかく難しい。行動圏が広いから野外では継続的に研究できないのが普通である。たいていの人はモンシロチョウやイ…

紹介 ようこそ地球さん

ようこそ地球さん(新潮文庫) 作者:星 新一 新潮社 Amazon 紹介するまでもなく星新一のショート集。世界観もさりながら文章のスピード感と無駄のなさに感心する。時代のせいか本書は陰鬱なストーリーが多く読み進めるのが辛かった話もあるけど、なんとか読…

紹介 コーヒーの科学

コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス) 作者:旦部幸博 講談社 Amazon 植物学、含有成分、トレードの歴史、ドリップ方式といった、コーヒーのすべての分野を網羅する意欲的な本である。マニアックな知識にクラクラしながら読み進…

紹介 ケーキの切れない非行少年たち

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書) 作者:宮口幸治 新潮社 Amazon 過去のベストセラー。自分に直接関わらないことなので気楽に読みすすめることができた。罪を犯す少年が周囲の状況を正しく認知することができない障害を持っていることがよくあるとい…

紹介 図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?

図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?: 生きものの“同定"でつまずく理由を考えてみる 作者:須黒 達巳 ベレ出版 Amazon 自分の専門でも「なんとなくこうだから」という説明をせざるをえないことがある。学生と一緒の野外採集で「こういうのはいかにもEote…

紹介 石の花(1)

石の花(KADOKAWA版) 1 (青騎士コミックス) 作者:坂口 尚 KADOKAWA Amazon 坂口尚をリアルタイムで知っているわけではない。学生寮の本棚にあったような気がするが定かではない。安彦良和の『虹色のトロツキー』と混同しているかもしれない。ただ、たしかに…

紹介:読む・打つ・書く

読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々 作者:三中 信宏 東京大学出版会 Amazon 一言で言うと「本への偏愛」というところだろうか。こんなに本自体を語る本を見たことはない。本屋の平積みで、読む方法や書く方法について語られる本は…

タレーラン6

珈琲店タレーランの事件簿 6 コーヒーカップいっぱいの愛【電子版イラスト特典+あとがき付】 (宝島社文庫) 作者:岡崎琢磨 宝島社 Amazon タレーラン・シリーズは短編集というイメージがあったが、この本は長編である。藻川が倒れ、亡くなった奥さんの謎の一…

コクゾウムシから見る歴史

昆虫考古学 (角川選書) 作者:小畑 弘己 KADOKAWA Amazon 縄文時代の日本や、その他の国や時代の遺跡から発掘された昆虫から、人々がどのような居住環境や食生活をしていたのかを推定する内容。実にロマンあふれる内容で感銘を受けた。とくに、コクゾウムシに…

書評

カルトの子―心を盗まれた家族 (論創ノンフィクション 009) 作者:米本和広 発売日: 2021/02/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 暗澹たる気持ちになった。 誌面の子供たちが今は健全に育っていることを祈るばかりである。 いよいよ新学期が始まる。 モッコ…

書評

この本は、科学にもストーリーの構成が重要だ、ということを書いた本です。 書店ではプレゼンテーションの技法について書いた本が大量にあります。そして、どうしたらプレゼンが分かりやすくなるかということについて、たくさんのノウハウがあります。しかし…

進化のからくり

遅読の僕がほぼ一日で読んでしまったほど面白かった。千葉先生にはまだお会いしたことはないが、きっとアツイ方なんだろう。 進化という話題なので遺伝子の話が多いが、内容はそれほど難しくはない。それどころか生態遺伝学の話はとても面白い。ただし、ジェ…

Hostrace勉強

同所的種分化の引き金とされているホストレース(寄主系統)について改めて調べていた。雑にメモする。(pp. 157-166) ホストレースは植食性昆虫で見られて、それぞれ異なる寄主に生息する。系統間には適度な遺伝子流動があるので、完全な種とはみなされな…

都市で進化する生物たち

時々読んでいる本。保全の分野ではしばしば都市を自然と対立させて考えるが、実際には都市でも多くの生物で進化が起こっている。この本は数々の実例をもとに、都市が進化のゆりかごであるという考えを論じている。著者は日本にゆかりがあるらしく、カラスの…

寄生虫のはなし(ボツ書評)

以前から学会の書誌紹介を依頼されており、勢いにまかせて書いておいたのだが、後日見直したらあまりに内容が汚すぎるし本に関係がないので、結局一から書き直したのである。しかし、これはこれで味があって残しておきたいので一応ここにアップしておく。 い…

伝記

進化学者ジョージ・プライスの伝記を読んでいる。翻訳は読みやすいが、なにしろみすず書房の例にもれずきわめて分厚い本なので一向に話が進まない。 うちの二歳の息子になんか読んで聞かせてよと妻に言われたので、その本を読み聞かせてやったらえらく退屈だ…

読み聞かせ

たまには絵本を読み聞かせてよと言われるのだが、どれも面白くないしオチがない。 個人的にはモチモチの木などが好きだが、まだ年齢的に少し先だし、いま買い与えたら紙をくしゃくしゃにしてしまうだろう。 しかたなく、手に持っていた文庫本でも読みあげる…

マッチと街

すばらしい力作で、強くおすすめしたい。高知市周辺のありとあらゆる喫茶店や食堂のマッチのコレクションから時代を遡るという、この手のファンには垂涎の企画である。たまにこういう本があるからローカル書店の探索はやめられない。この本はたぶんアマゾン…

 中国嫁日記

ノンフィクション漫画として面白いデス。4コマで日常のおかしさをうまく抽出してるのカンジ。2巻はいい話多いダカラ。

 この世界の片隅に

こうの史代、2008、双葉社 戦中の呉を舞台としているので「呉マンガ」と勝手に心のなかで名付けている。作者は「夕凪の街桜の国」の人。あまりにも多くのサイトでレビューされているので、内容は省略。 こうの史代は絵の発想がフリーダムなところがいいと思…

 高知遺産

ART NPO TACO, 2005 白状しなくてはならないが、廃屋や古い工場の美しさというものに最近はまってしまったかもしれない。それは高知のいたるところにそういうものがあるからだ。瀬戸内側の近代的な工場群の夜景も魅力的ではあるが、不気味すぎて夜は近づけな…

 京都極楽銭湯読本

京都極楽銭湯読本作者: 林宏樹出版社/メーカー: 淡交社発売日: 2011/03/19メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (1件) を見る 風呂屋がないとつまらない。先日のNHKで、気仙沼での銭湯が被害にあって漁民の寄り合い場所がなくなった…

茄子

新装版 茄子 上 (アフタヌーンKC)作者: 黒田硫黄出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/01/23メディア: コミック購入: 7人 クリック: 231回この商品を含むブログ (44件) を見る 昔、友達と京都で「グールドをめぐる32章」という映画を観たが、こっちは茄子を…

ロッパの悲食記

ロッパの悲食記 (ちくま文庫)作者: 古川緑波出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1995/08メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (19件) を見る 日記というか、ほとんどツイッターである。 戦前の日本のお笑いの黄金時代の一角だったロッ…

ポケット時刻表 中国版 2012・春改正号

時刻表には不思議な魅力がある。愛読書に時刻表を掲げる人も多い。 これは、少し競馬新聞にも通じるような気がする。ぎっちりと余白が埋まってるものってワクワクする。そして、遊び心をくすぐるのが「見る人が見ればわかる記号」が掲載されていること。競馬…