紹介 青い壺

青い壺 (文春文庫)

無名の陶芸家が焼き上げた青磁が、たどり着く場所で様々な人間模様に出会う。こう書いてしまうと平凡だが、話のたびに舞台が大きく入れ替わるので読んでて飽きない。向田邦子と似ているところもある。私が面白かったのは後半の修道女、シスター・マグダレナの連話で、料理と信仰とピアノがドラマチックに重なり合い、最後は魂を揺さぶる結末を迎える。すぐに映像化できそうである(もうされているのか?)。

 なお、マグダレナは本人の洗礼名である。