ART NPO TACO, 2005
白状しなくてはならないが、廃屋や古い工場の美しさというものに最近はまってしまったかもしれない。それは高知のいたるところにそういうものがあるからだ。瀬戸内側の近代的な工場群の夜景も魅力的ではあるが、不気味すぎて夜は近づけないこの地の石灰工場も魅力がある。集落にはいまだに現役のトタンの建物が多く、集落全体を不思議な魅力を醸し出している。
この本は高知のそういう魅力を写真とコラムで紹介しており、道すがら「一体なんだこれは!?」と思う古い建造物などはだいたい収録されている。(この地にはそういうものがよくある。)そういうわけで、土佐をディープに知りたい人、ひとつのアートとして捉えたい人におすすめ。昨日紹介した銭湯も、もちろん「遺産」として紹介されている。
最後のコラムでは、消費社会によって、魅力ある「遺産」が減少することへの痛烈な批判がなされている。この流れを止めるのは難しいだろうけど、それでもなおこの地の「遺産」はかなりの長きにわたって残り続けると思う。なんとなくだけど。
残念なことに、NPOプロジェクトの出版のためか、大手では取り扱いがないようだ。
古本屋などを通じて入手するしかないのかも。
今日のひとこと
そろそろ、お互いに必要のないものを売り合いながら作り上げたこの国の社会の不自然さに気がついてもいい頃ではないか。