以前から学会の書誌紹介を依頼されており、勢いにまかせて書いておいたのだが、後日見直したらあまりに内容が汚すぎるし本に関係がないので、結局一から書き直したのである。しかし、これはこれで味があって残しておきたいので一応ここにアップしておく。
いきなり尾籠な話で恐縮だが、私が物心つく頃には、海水浴の砂浜にはよくカンチョウが落ちていた。これは汲み取りのし尿を沖合に投棄したものが流れ着いたことによるという。この海洋投棄の漂着がもとで、昔はよく細菌性の赤痢が起こったそうである。この赤痢は本書のアメーバ性とは異なるかもしれないが、人間社会の中で寄生虫病原体が循環されていたことは興味深い。
私もアメーバ赤痢は遠い国の話のように感じていたが、現在は国内でも性交渉の多様化とともに都市部に広がっていることを知った。人々が夜な夜なカンチョウで赤痢を移し合っているのかと思うと、この国の先が思いやられる。カンチョウの利用にあたっては正しい知識が必要だ。 そもそもカンチョウの是非にとらわれるべきではない。 適正に使用すれば感染を引き起こすことはないし、便利なものである。便だけに。
本書に話を戻すと、これはいい本である。多くの寄生虫のことが書かれており、ためになる。イラストも豊富で生活環の理解の助けになる。いままでの文献は文章が多く、寄生虫の複雑な生き様を理解するのが難しかったが、この本はすんなり理解できるような工夫がされている。ときどき挟まれるコラムも楽しく、かなりマニアックな生物も紹介されている。・・・
(後略)
(いや、見直すとひどいな。やっぱり)