蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

 吉田秋生banana fishよりも、こういう個性豊かなヒトビトの感情が行きつ戻りつする短篇集のほうがずっといい。(話は続きものですが)
 そして、この作者に触れた人ならかならず読むべき漫画である、そう断言します。

 そして、うまい。漫画が。当たり前か。
 絵がうまい人はいっぱいいる。でも、こういう「間」をうまく使うことのできる漫画家って意外と少ないんじゃないか?

 吉田秋生は「会社に勤めた経験はない」と三十年前の対談で言っている*1。でもなぜこういうリアリティのある人物が書けるのか不思議。『河よりも長くゆるやかに』のときもそう感じたし。

 テーマは家庭の複雑な事情とか恋愛ってことになるのかなあ。でもこんな身も蓋もないマトメでは面白さの1割も伝わらないよね。

 鎌倉、行きたいなあ。


今日のひとこと
「子供であることを奪われた子供ほど哀しいものはありません」


*1:吾妻ひでお〈総特集〉---美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪(文藝別冊) isbn:9784309977492