文献

Clonal reproduction by males and females in the little fire ant
Denis Fournier, Arnaud Estoup, Je´roˆme Orivel, Julien Foucaud1, Herve´ Jourdan, Julien Le Breton & Laurent Keller

 H氏のゼミで紹介されたもの。最近のNatureに載ったもので、タイトルが気になっていたから興味があったもの。遅ればせながら実に驚く内容。
 
いくつかのヒアリのコロニーで、マイクロサテライトの11個のalleleを調べた結果、
・各コロニーで見られる複数の女王はほぼ全て同じ遺伝子型を持つ。→新女王は単為生殖でクローン生産
・ワーカーは女王と交尾相手のオスの遺伝子を持つ。すなわち、女王とワーカーは遺伝子型によって決まる
・驚異的なのは、オス(半数体)は女王の交尾相手のオスのゲノムを持つという点。すなわちオスは、女王の卵にあるメスゲノムを排除して、自分のクローンのオスを生むという。
 
・アレル間の遺伝的距離から系統樹を描くと、オス由来の遺伝子型とメス由来の遺伝子型が真っ二つに分かれる。すなわち、オスの遺伝子とメスの遺伝子は全く異なる遺伝子プールに属していると結論できる。

 上の結果から、ヒアリではメスもオスもクローン生産されるという結論。恐るべし。