Stabilizing selection と遺伝分散

 今月号のTREEの記事(20(9):468-470)に「mutation-selection balanceで遺伝分散を維持できるか」という記事があったのだが、読んだら混乱してしまったので勉強しなおした。が、やっぱりわかったようなわからんような。量的形質にかかる安定化選択には2種類あって、"real stabilizing selection"(the focal traitに直接選抜がかかるもの)と"apparent stabilizing selection"(他の適応度形質とのpleiotropyを通じて、見かけ上安定化選択がかかっているように見える)がある。"Real"な場合には、安定化選択がかかると遺伝分散はどんどん減少していくので(個々のlocusではアレルが固定する)、遺伝分散を維持するのは無理やねん、となる。"Apparent"のほうなら遺伝分散を維持しうるが、その条件が現実世界に適用するにはキツイらしい(TREEの解説ではよーわからんかった)。記事では、mutation-selection balanceで遺伝分散を維持するにおいてそれぞれのモデルだけでは不十分だが、両方をcombineさせた"jointモデル"なら無理なく説明できるよん、と言っているようだ。が、唯一の図が全く理解できない(joint modelのほうが遺伝分散が減っているように見える)。
 Roff本('97)が言うように、mutation-selection balanceモデルはその組み方で結論が変わってくるように思える。例えば"real"な場合、量的モデルを単一遺伝子モデルにすると、そのlocusではヘテロ接合体が選抜されて遺伝分散はフツーに大きくなるだろう。メイナードスミス本(『進化遺伝学』)やRoff本('97)では、個々の遺伝子座のmutantの効果が不均等な場合は結論が異なってくるというし。また、上のモデルでは遺伝子頻度だけを考えていたが、「子孫の表現型変異の幅を小さくするような突然変異」なんてものを考え出したらもうわけわかめ