文献メモ

Stevins, L (1994) Genetic analysis of cannibalism behavior in Tribolium flour beetle. Quantitative genetic studies of behavioral evolution (ed. by Boake, CRB) Chicago University Press, Chicago.
 トリボリの共食い行動を量的遺伝学的に解析してみた。25年飼育したbase populationから、弱いボトルネックをかけて4つの系統を作り、それらを交配して共食い行動の遺伝分散とそれに関与する遺伝子座の数を推定した。まず、共食いの強さはかなりadditiveな部分で説明できるようだ。また、それらに関与する有効な遺伝子座の数は2〜3程度と推定された(例外あり)。25年ラボで飼っていても、こんなに変異が維持されているというのが驚きである(有効遺伝子座が2〜4だというのに何故だろう?)。さらに、作った系統ごとに共食いの強さが異なり、それが長年安定している現象を受けて、これが単なるボトルネックの効果なのか、系統ごとに異なる適応ピークに達しているのか(shifting balance theory)について議論している。この章が書かれた時点では「結局はっきりしませんでした」という結論であるが、この後10年間でどんな進展があったのだろうか?