輸入クワガタと進化

 NHKクローズアップ現代で輸入クワガタ問題を放送していた。ただちに輸入をシャットアウトするのが生態系を乱さないという意味でベストだろう。
 それとは別に、今の状況は移植実験をしているも同然で、移入種が定着するとしたら元の個体群に比べてどのような性質の変化(進化)が見られるのかを分析することに進化生態学的な興味がある(実際にアメリカシロヒトリ、オオタバコガ、オオモンシロチョウなどで様々なアプローチが行われている)。特に、移入種と在来種の雑種がどうやって野外で生き残っていくのかどうかに個人的な興味がある。
 保全する、という意味では、もう遅きに逸している部分はあるように思う。いったん定着した昆虫は根絶は難しい。とすれば、定着していそうな種について、形態形質・生活史形質を経時的に調査すると、進化・保全研究の役に立つのではないかと思う。ただ、あまり頻繁に侵入・交雑が起こると網状進化になってわけわからなくなってしまうだろうけど。
 私の材料のハダニ類はどの程度雑種形成や網状進化が関与したのだろうか。現存種が強制交尾させれば雑種ができるが、それを維持した例は知らない。しかし現在をもって過去を推測することはできないので、やはり遺伝子レベルで調べないといけないだろう。