目的 (purpose; aim; objective; end...)

 ゼミで新M1のKさんが卒論のまとめと修論計画を話したら、助教授H氏が「一体それのどこが面白いのだ?」と松坂なみの直球ど真ん中を投げる。なんとなく、「彼氏いるの?」と直球を投げてしまった昔の甘酸っぱい記憶を思い出す。ときに、巨人の中継ぎ陣もH氏を見習って頑張ってもらいたいものである。途中帰国のミセリなどもっての他である。それはともかく、Kさんはかなりショックだったようだ。しかし、これが研究世界の厳しさよ。まあしかし、初めて研究の世界に足を踏み入れる人にとって、研究の目的というものは確かになかなか難しい。一生懸命計画を書いたのに、教官に「ちゃんとやれ!」とか言われるし。もちろん本人は「ちゃんと」やっているつもりなのである。ああ、理不尽。

 実際、研究の目的という点に関して、今まで私が見た多くのマスターは甘い。『宝探し*1』『山登り*2』実験にならないためには、一本、興味の根幹を設定することが必要で、根幹と枝葉を意識することが必要だ。問題は、これから研究をはじめようとする人にそれが見えているかどうか?教官や先輩としては、それをどこまで意識させるべきか?厳しく意識させるべきだろうか?私は割と自由にやらせてもらい、今ではそれなりに評価される部分も出てきた。だが、それは単なるわがままだったろうか?もっと早く根幹を定めれば、もっと早く成果が出ただろうか?それともこれはこれでよかったのだろうか?自分の経験に照らし合わせれば、わからなくなることばかりである。

 自分自身のことすらわからないことだらけではあるが、一応ハダニという同じチームのメンバーということで、研究の方向性についてゼミ後に少しアドバイスした。アドバイスといっても、彼女が言ったさまざまなベクトルのアイデアを口述筆記しただけである。しかしお互いに、それなりに問題は整理されたようにも思える。もし後輩の研究者にとって自分のノウハウが役に立つのなら、この上なくうれしいことであるが。

Writing is thinking (on paper).

がんばれ!

*1:「なぜそこを掘る(研究する)のですか?」「宝があるかもしれないからです」

*2:「何故山に登るのですか?」「そこに山があるからです」