帰札

 今回の上京の目的はほぼ100%達したので、とりあえず満足である。とくにコアジサイに定着するハダニ個体群が見つかったのはうれしい。なかなか見つからないのである。
 
 満足、ではあるのだが、以前いた研究室まわりの様子が年々変わっていくのに驚き、少し悲しくなった。人間関係的な部分を中心に、決してよい方向には変わっていないことは明らかである。第一に、博士課程に17人(書き間違いではない)いるのは問題であろう。
 この変化に関しては、院生本人よりも教官側にまずい部分が多いと感じる。はっきり言うと、教官同士の関係があまりに悪すぎる。ゼミの発言も、教官の顔色をうかがわなくてはいけない状況にあると聞いた(それは本当だと思う)。それぞれの院生と話をすると、研究上の面白い話もしてくれる。能力的には誇れるものを持っているのに、つまらない人間関係で言いたいことも言えないなど、もったいないし、つらい話である。そして、教官との意志疎通もしにくい状況にある。だいたいD論をかかえた院生がいるのに指導教官が学校にほとんど来ないってどういうことだ(そのせいで2人の教官で20人近くの面倒を見ているのである)。D論をきちんと相談できる環境にないのに、立派に書き上げた彼は本当にエライと思う。しかし、普通の人はまともなものを書けないであろうし、それでずるずると長くいることになるだろう。下手をすると、卒研レベルで博士課程にいつまでも在籍することになるのである(あるドクターに「この『et al.』ってなんですか?」って聞かれて教官がひっくりかえったという話も聞いた)。学校に来なくなってしまった院生が私が何人もいるのだが、おおいに研究室自体の雰囲気、とくに人間関係に因があると推測する。教官に質問に行くと怒られるような環境では、育たないと思う。
 私は今回のプレゼンで自分の研究内容について紹介したのだが、向こうの院生がほとんど研究の進展について紹介してくれなかったのは少し淋しい気がした。私のプレゼンがお粗末だったのでコイツに話しても無駄だと思ったのであろうか(と、イヤミったらしく言ってみる)。雑談でもいいから、もう少し研究の話をしたかった。研究の話、といっても雑談程度だが、それをしたのが一人の教官と数人に院生だけというのは淋しすぎた。
 つい批判口調になってしまったが、面白い研究をしている院生は実際にいるわけで、そういう人があまりペシミズムやニヒリズムに走らずに積極的に発言していけばよいのだろう(それをdepressする方向に人間関係がなっていることが問題であるが)。Success!

(上の文章、「教官」とは特定個人を指しているわけではなく総称です。念のため)