都市で進化する生物たち

 

都市で進化する生物たち: ❝ダーウィン❞が街にやってくる

 時々読んでいる本。保全の分野ではしばしば都市を自然と対立させて考えるが、実際には都市でも多くの生物で進化が起こっている。この本は数々の実例をもとに、都市が進化のゆりかごであるという考えを論じている。著者は日本にゆかりがあるらしく、カラスのくるみ割り行動についても言及がある。

 有名すぎるオオシモフリエダシャクはもちろんのこと、獲物をもとめて灯火に集まるようになったクモ、種を飛ばさなくなったたタンポポ、配達牛乳の蓋をあけて中身を飲む(あまつさえ突っ込んで溺れる)シジュウカラ、ロンドンの地下鉄の路線ごとに分化しているカ、など面白いトピックが並んでいる。ただし、例があまりに多いので、各論についてもっとじっくり読みたい気もする。

 私の研究材料のハダニでいえば、都市部に植えられる毒草のキョウチクトウに適応した系統がある。このような都市部で確立された系統が周辺部の寄主利用にどう影響するのかは興味深い。