ロッパの悲食記

ロッパの悲食記 (ちくま文庫)

ロッパの悲食記 (ちくま文庫)


日記というか、ほとんどツイッターである。
戦前の日本のお笑いの黄金時代の一角だったロッパ。
敗戦の色濃い日本でグルメ三昧である。
不謹慎かもしれないが、空襲のリアルタイム感のある昭和19年の日記がやはりおもしろい。
飯がうまければ大喜び、まずければひどく落ち込む。
食べるものしか愉しみがなかったのかも、というとちょっと言い過ぎかもしれないが、飯の描写は実にいい。
うまいものが出たときの文章はじつに生き生きしている。

戦時中でも、興行の旅先の宿ではかなりのごちそうが出たらしい。
オムレツ、ビフテキ、ビフカツ、シチュウ、卵、白米。
ただ、やはり食料はだんだんと尽きてきたようで、
ごはんにうどん玉が混ざろうものなら、「ああこれじゃあ、もう東京に帰りたい」とか泣き言をいう。

悲惨な時期の日記でも読みすすめられるのは、ロッパの快楽的な性格によるのだろう。「わが家にて三日目に風呂に入り、ああいい気持ち」などノンキなものである。

しかし、驚くべきはそのアウトプット力である。
ほぼ毎日これだけの日記を書くことができるのはすごい。
しかも興行の脚本まで自分で書いたりしているのだからすごい。
平成24年ツイッターのアカウントを持っていたら、ぜったい万単位のフォロワーがついたと思う。


今日のひとこと

ああ下司の味!