文献メモ

Kearney, M (2005) Hybridization, glaciation and geographical parthenogenesis. Trends Ecol. Evol. 20, 495-502.

 先々号のTREEのopinion。Geographic parthenogenesisとは、単為生殖する生物が特定の環境(乾燥地、島、高地などの厳しい環境)に偏っていることを差す。増殖効率における「二倍のコスト」による説明だけでは、このパターンが説明できない。なぜこのような地理的なパターンが生まれたか。筆者の意見では、氷河期に鍵があると考えている。すなわち、有性生殖する種は個体群サイズが減少することによって遺伝的多様性が減少し、分布を制限されるようになった。その一方、遺伝的多様性(新しい環境における雑種強勢)を得た雑種のほうは分布を拡大した。しかし、雑種は親種との戻し交雑ですぐにダメになってしまう。単為生殖する雑種は、表現型をF1状態のまま保持していけたので、今のような分布になったという意見。厳しい環境に生息する単為生殖種は雑種が多いというのがサポート。