雄による雌への擬態

The transvestite serpent: why do male garter snakes court some other snakes? Animal Behaviour (2000) 59: 349-359
Confusion within 'mating balls' of garter snakes: does misdirected courtship impose selection on male tactics? Animal Behaviour (2003) 66: 1011-1017

 今日のレビューゼミでは3年生が発表。なかなか興味深い内容だ。ガーターヘビの雄の一部は、越冬直後の数日間、雌に擬態するらしい。擬態していない普通の雄(he-male)は擬態雄(she-male)を雌と間違えて求婚するという。そして擬態雌を中心とした繁殖(?)グループを形成する。驚くべきことに、擬態雄は雌に似た体表成分を持つ。
 いったいなぜ雄が雌に擬態するのか、という点が重要だ。他の雄を自分にひきつけることで、他の雄の繁殖活動を妨害しているのだ、という仮説があるそうな。しかし2番目の論文の実験では、擬態雄の魅力は低く、そのような攪乱作戦では説明がつかないと結論されている。
 下のサイトでは、「体を温める」仮説が紹介されている。
http://www.natureasia.com/japan/sciencenews/bionews/article.php?ID=550
 他に、同種による攻撃を回避する可能性なんかもありそうだ。結局、なにが擬態雄の進化をもたらしたのかについて、このケースでは決定打はまだのようだ。