闘った「のんき節」

さまざまな替え歌のある「のんき節」。世相を皮肉った歌。ぜんぜんのんきでない世相話を、「のんきだねー」という、ちょっと意地の悪い歌。最近では替え歌を岡大介が歌っているので知る人ぞ知る有名。

もともと戦前の社会風刺演歌歌手の添田唖蝉坊(そえたあぜんぼう)から、タレント議員一号(吉本興業)として名高い石田一松へ伝承されたもの。歌詞は時流に合わせて変わっています。おもに活躍したのは戦時中だったとか。

その広島出身の石田一松の生涯を記した膨大な記録。
原爆での体験は、のちの人生観に大きな影響とあたえたという。

はっきりいって、この本はかなーりマニアック(pp.501)。著者と縁があったとはいえ、家族構成から、交友関係から調べられるものはすべて調べつくした、というねちっこさ。いったい著者はなぜそこまで?それが不思議。
要所要所、ちょっと芝居じみてて作りすぎの感もあるが、石田という人物を知るうえでは貴重な資料となるでしょう。

著者のスタンスは、完全に左寄り。「闘う」と表題にあるとおり、かなりそういう話が多いです。
艶話はすべてカット。これは残念。この時代の芸人人生に艶話は切っても切れない関係では?
そのおかげで、全体的にカタい本になっています。

こういう反骨の芸人はもう出てこないのでしょうか。

学校の先生はえらいもんじゃそうな
えらいからなんでも教えるそうな
教えりゃ生徒は無邪気なもので
それもそうかと思うげな
ハハノンキだね〜