ノビタキ



(Usa, Kochi, Japan. 9 Apr., 2012)

 高原でノビタキの繁殖を見るとうれしい。というか、じつは僕は見たことがない。いつか繁殖しているところを見たいと思っている。きれいな鳥だ。
 この写真は高知市内の海沿いの湿原で見て、興奮しながら写真を撮りまくったけど、ネットの掲示板で聞いてみたら、ここらへんは渡りの中継地で、この時期はよく見られるそうだ。なーんだ。

 ヒタキのたぐいは好きだ。
 キビタキなんかよく鳴いているけど、木の陰で鳴いているので、あまり姿が見えない。この点、電線とかで鳴いているオオルリのほうが好感が持てる。青いし!青い鳥っていいよねなんか。ここらへんはイソヒヨドリが電柱で鳴いているので、それを眺めるのもうれしい。地元では海の近くまで行かないと見れない。

 ところで、ぼくの持っているフィールド図鑑でヒタキ類(ヒタキ科ヒタキ亜科)のあたりを調べてもノビタキは出てこない*1。どこ行ったと思ったら、ノビタキジョウビタキツグミ類のあたりに入っている。
 えー、そうかな。どう見ても((ノビタキ, キビタキジョウビタキ), ツグミ)のように外見は見えるけど。目が甘いのだろうか。
 と思ったら、よく見ると「ツグミ類」は「ヒタキ科ツグミ亜科」となっている。あれ?ツグミはヒタキの仲間なんだっけ?

 混乱してきたので、Wikipediaで調べてみた(http://ja.wikipedia.org/wiki/ツグミ科)。(太字筆者)

歴史
歴史 [編集]
Hartert (1910) は拡大されたヒタキ科 Muscicapidae を提唱した。(中略)現在のツグミ科はほぼ当時のツグミツグミ亜科 Turdinae にあたり、ツグミ科には他にノビタキ亜科 Saxicolinae があった。

Sibley & Ahlquist (1990) は、ノビタキ亜科はツグミ亜科よりもヒタキ科に近縁だと考え、それらをヒタキ亜科にまとめた。またツグミ科自体もヒタキ科に統合し、ツグミ亜科をヒタキ科の亜科とした。ただしのちに、彼らの亜科は科、族は亜科として扱われたので、結局、ノビタキ亜科がツグミ科からヒタキ科に移されたことになる。(中略)

んー、この説明ではやっぱりよくわからんな(笑)
ともかく、ノビタキ亜科はこのあたりでヒタキ科に移って、ツグミ(亜)科とお別れした、ということかな。

 Wikipedia に引用されている最新の原著が自宅でもダウンロードできたけど、分子系統論文だった。
pdf (Mol Phylogen Evol, 2010)
http://www.nrm.se/download/18.3ebfe5cf12a9d3ebacb80002787/Sangster%20et%20al%202010%20Muscicapidae%20MPE.pdf
cytBと核3領域のそれぞれをMCMCMCした、のかな?
で、結果はなにやら深部系統は怪しげなカンヂだが、少なくともノビタキ(Saxicola属;ノビタキ亜科Saxicolinae)はツグミ科(Turdidae)とはぜんぜん別のクレードであるようには見える。

 そういうわけで、最新の分類 (2010) では、ヒタキ科ノビタキ亜科という巨大な箱に、ノビタキ属もキビタキ属もジョウビタキ属も、コマドリ属やイソヒヨドリ属なんかと一緒にぶち込まれているようだ。ツグミ科とはそれらは別モノ?僕の持っている図鑑は古いのかもしれない。
 
 門外漢にはこのへんが限界だ。
 ともかく、ノビタキもまた分類学流浪の民となっているようですね。

*1:フィールドガイド日本の野鳥、増補版、1982