元研究室のKさんの論文がProSocにアクセプトされて注目されているようです!
 
海外でブログまで立ち上がりました。
A sticky case of eight-legged housework | Not Exactly Rocket Science | Discover Magazine
(論文自体はブログの下からたどれます)
  
 
 ケナガスゴモリハダニ

 

 ケナガスゴモリハダニは触肢から糸を出しながらササの葉の裏側に巣網を張り、その中で繁殖します。巣網を張るにあたって、糸を出しながら葉脈の近くを斜交いに往復していきながら編みあげていくことが観察できます。
 これまでに、この巣網(あるいはそのなかのハダニ自身)には天敵防衛の効果があることが証明されています。
 
 今回の研究は、巣網を張ると同時に粘着性の糸を使って巣内の掃除をしているという驚くべき内容でした。つまり、往復しているときに糸に巣の中のゴミやカビの胞子(実験では赤い粒子でモデル)をくっつけていき、最終的にそれらのゴミは巣の天井に持ち上げられてしまい、巣内はクリーンに保たれるというのです。しかも、汚い(粒子が多い)ときはより頻繁に網を張るそうです。これは従来の捕食者に対する防衛という観点からは説明できない。
 もう少し背景説明すると、スゴモリハダニの巣は他の種類より巣網をだいぶ密に張るので、たぶん通気性が悪くて雑菌が繁殖しやすいのでしょう。実際、この種は「溜め糞」をして巣の入り口付近にトイレを作ることが知られています(糞をするときはわざわざそこまで出向く)。カビは溜め糞にはたくさん生えて胞子を出しているのが簡単に観察できるのですが、巣内にはほとんどない。スゴモリハダニは天敵防衛に強い巣を張る代償として、病原菌との戦いを強いられているわけですね。
 
 帰省したときにデータを見せてもらったときは、声を上げてびっくりしたものです。
 おめでとうございます。
 
 研究に固定観念はいけませんね!