こちらの回転寿司はたいがい小規模で、昼過ぎに入るとお客さんがいないことがよくある。あまり皿も回っていない。それで自分でネタを注文することになるわけだが、モグモグ食べている間、おたがい2mくらいの距離にいながら、次の注文まで視線を合わせないようにしているので微妙な空気が流れる。現代社会なのでこちらから話しかけるわけにもいかない。こういう空気は耐え難いので、次は2皿くらいたのんで一皿食べたら次の注文をするのだが、一生懸命食べないと間が持たないし、なにか申し訳ないような気分になって落ち着かない。「うまいなっ」とか、さりげなくつぶやくのだが、どうも聞いてないみたいで、努力が空回りした気分になる。こんなことなら隣のラーメン屋かファミレスのほうがよかったとも思う。こういう体験を繰り返して僕らは大人になっていくのだろうか。
 皿が少ないどころか、全くまわっていない店もある。お客がだれもいない空間に、何も乗っていないベルトコンベアーがウィンウィン回っている。ベルト越しに、数人の職人さんから次々に「なんにしましょ」とか言われるので、
「まずこの意味のないベルトコンベアーをとめてくれ」、
次に
「面接じゃないんだから数人で注文をとるのはやめてくれ」、
最後に
「最近おたくが国道沿いに開いたゲルマニウム療法の店、怪しさ満点です。」
と注文したい。最後のは注文じゃないか。
 
 こちらではカツオの寿司がたいてい一皿100円なので、これをメインに組み立てるとよいでしょう。