母性効果その2

Cheverud J M and Moore A J. 1994. Quantitative genetics and the role of the environment provided by relatives in behavioral evolution. Pp. 67-100 in C. R. B. Boake, ed. Quantitative genetic studies of behavioral evolution. The University of Chicago Press, Chicago and London.

 母性効果のWilhamモデルとKLモデルの入門章。なんど読み返してもわかったようなわからんような。
 哺乳類について直感的な話。母メスの間の体サイズの変異を考える。まず、変異は遺伝的ではなく、すべて環境によって決まったと考えよう。体サイズの大きなメスは沢山の子供を産むとしよう。ところが子供は過密になるから、母メスと同じ齢になったときの体サイズはむしろ小さくなることもありうる。母メスの表現型によって、子のサイズが影響を受けたわけだ(母性効果)。
 しかし、本当は母メスの間に遺伝的変異があることを考えれば、子供は母親から体サイズを支配する遺伝子を受け取るので、本来、体サイズの大きなメスの子は大きく育つはずである。
 では体サイズを大きくする方向に人為選抜をかけた場合どうなるか。これは母性効果と遺伝的な選抜反応のバランスによって変わる。それを予測するのにWilhamモデルやKLモデルが使えるわけだ。
 上のは体サイズだけを考えた単純な例で、例えばウシの体サイズと、それに母性効果として影響を与える乳量という2形質の場合も考えられる。この場合、両方の形質の遺伝分散と形質間の共分散を考えなくてはいけない。さらに一般化すると、母性効果を及ぼす形質が目的の形質に及ぼす効果は、遺伝的要因を調整したときの偏回帰係数として与えられるという。
 
 
 脳味噌バーン