機関車先生 (集英社文庫)

機関車先生 (集英社文庫)

 伊集院静の本は初めて読んだのだが、まず情景描写がうまいと感じた。映画でも見ているかのように、そのシーンが鮮やかに浮かび上がる。これは小説家の筆の力というものだろう。
 本書のテーマとなるのは人間の弱さと祈りであるのだと思うが、けっして説教くさくなく、機関車先生の行動にさりげないメッセージが込められている。登場人物の個性もはっきりしていたので、それぞれの立場に感情移入して楽しむことが出来て満足。
 映画にするとじつにいい話だろうと思って読んでいたのだが、ごく最近映画化されていたことに気付く。全然知らなかった。
http://kikansha.tv/pc/index.html
主役の坂口憲二が少し濃すぎるかもしれんが、おおかたイメージどおりの配役で良さそうな感じだ。今度ビデオを借りてこよう。