完璧主義

 ようするに遅筆なのは生来の完璧主義なせいである。この世に完璧ほど美しく魅惑的なものはないと思っているのである。これが自分の人生に大きく影響したことは疑いない。しかし、自分が完璧主義であろうと、はたから見ればfar from 完璧であることもまた疑いない事実のようであり、自分の完璧を目指す努力が不真面目や怠けと他人に思われるときほど、完璧主義者にとって悲しく屈辱的であることはない。ビジネス書にはよく「完璧主義を捨てよ」と書いているが、そのようなことが簡単にできたら何も苦労しないわけである。
 完璧主義と実際の完璧さが対応していれば、人間は本人の考え得る最高の人生をおくれることは間違いないと信じているのである。さて、こうやって人は孤独になっていくのだなあ・・・とぼんやり考えた次第である。終わり。

追記:「完璧主義を捨てよう。ありのままの貴方でいい」とかいう啓蒙書がよく平積みになっているが、「ありのままの貴方」が完璧主義の人はどうすればよいのだろう。また、モハメド・アリはアリのままの自分を認めただろうか。