空いた食堂と4:6のチラ見

僕はたいてい一人飯です。
いつかのネット記事で、学生は一人飯が耐えられないとかいってましたけど、信じられない。
(ましてや便所で飯を食うって本当ですか。)
一人飯のときほど救われている気分を感じることはありません。
学食で窓に向かって座り、外の景色を眺めるひとときがつかの間の幸せです。
窓の外のアラカシの生け垣に秋雨など降っていると最高です。
背後の集落のたたずまいとあいまって、ひとつの絵画として成立している。

ところが、ですよ。
わざわざその窓の前の机に、それほど親しくもない知人がこっちを向いて座ったりするのですね。
こちらはもう飯を半分以上食っているので、わざわざ相席するのはおかしい。
(というより、親しい相手なら向こうから声をかけてくるものですからね。)

そういうふうに座られると、目をずっとそらしているのも感じが悪いし、
かといってそっちをジロジロ見るのも「なんだコイツ」って感じになるし。
どちらにしてもダメなのですね。
かといって、じっと自分の飯を見つめて食べ続けるのも息が詰まる。
ましてや、知人である以上、やおら席を移動するのも考え物ですし。
そういう苦しい状況におかれるわけですよ。

こうなると、席は現状維持で、彼/彼女にどの程度視線を向けるべきかが問題として立ち上がってくるわけです。
今日は仮に4:6の比率を定め、4を彼のいる側に目を向け、6を彼とは逆側に目をそらす、という戦略をとりました。
彼の逆側には金属製の食器棚と下手糞な油絵しかありません。
昼のひとときが10分の6損するみたいな格好になっていますよね。
私は彼の側の窓の外を見たいのですよ。

ちなみに、その4とも、向こうはこっちから目をそらしていました。
いよいよ「なんなんやアイツは」という気持ちになってきて、あとは飯をかっこむだけになってしまうのです。

お茶を三杯飲んで考えていたら、向こうは大して気にもとめてない風で、さっさと飯をすませて出て行きました。助かりました。


そういうわけで、なかなかジレンマもあるのですね。
窓の近くに座れば、という意見はあろうかと思いますが、それだとあまりにもさびしくないでしょうか?
中年男が一人で窓の外を見て飯を食うってのは、なんか。
それに、窓の近くって、なんかスースーして寒いし。
どうしましょう。