土着天敵 県域増殖を容認/農水省通達 知事に届け出条件(日本農業新聞
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin5/article.php?storyid=823
 
 すでに去年の段階で環境省の答申が出ていたのですが、農水省のこの通達は一面でとりあげられました。ちょっと整理してみます。
 

農薬取締法 第二条を抜粋

第二条 製造者又は輸入者は、農薬について、農林水産大臣の登録を受けなければ、これを製造し若しくは加工し、又は輸入してはならない。ただし、その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬(以下「特定農薬」という。)を製造し若しくは加工し、又は輸入する場合、第十五条の二第一項の登録に係る農薬で同条第六項において準用する第七条の規定による表示のあるものを輸入する場合その他農林水産省令・環境省令で定める場合は、この限りでない。
(傍線筆者)

 
ちょっと長いですけど、要するに、この「特定農薬」=「農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなもの」は登録せずに製造・加工してよくて、その中に指定されているのが現在は次の3つなわけです。
 
重曹
2 食酢
3 天敵(使用場所と同一の都道府県内(離島は離島内)で採取されたもの)
  
(あまりツッコまないように)
 
天敵は「採取されたもの」というのがミソで、

農水省は「生態系への有害な影響が懸念される」として、土着天敵の人工的な増殖や流通を禁止してきた。

 
つまり、「土着天敵を使ってもいいけど、増やして使ってはいけませんよ(外で天敵を捕ってきて放すならいいですよ)」というわけで、自分で増やしたり、人からもらった天敵はダメだったわけです(農薬取締法違反!)。
  
 この法律が実際メチャクチャに厳しいので、高知大が増殖天敵利用を特区として認めてほしいと申請しました。それに対して、「特区に限らず、増殖方法や配布・使用計画などを調査し、土着天敵が当該都道府県外等で配付・使用されないことが確認されれば、増殖した土着天敵の配布・使用を認める。」という答申を得たのです。(この「特区に限らず」という部分の意味がいまいちわからないのですが・・・特区申請しなくてもOKという意味でしょうか)
 
 んで当然、「虫が県境をまたがないのか」とかツッコミはあって、そこは一応審議されたみたいです(下のサイトの議事録を参照)。
 
 農薬登録されている外来種の天敵昆虫は流通自由で、日本の土着種の流通が不自由なのはおかしな話です。
 
参考:
環境省・中央環境審議会の農薬小委員会(第12回)
http://www.env.go.jp/council/10dojo/yoshi10-04.html