メモ

Geographic variation in diapause incidence, life history traits, and climatic adaptation in Drosophila melanogaster.
Schmidt P S, Matzkin L, Ippolito M and Eanes W F.
Evolution (2005) 59: 1721-1732.

 
 Evolutionに久々に登場した休眠ネタで期待したのだが、やや期待はずれか。休眠率の地理的クライン自体はfar from novelと言われてもしかたないだろう。遺伝分散があるといってもそれ自体はおどろきでない。生活史形質や飢餓耐性にいたっては、"geographic variation"を出したとすらいえないだろう。ovarioleの数をすさまじい労力で調べているのだが、「これは実はfecundityとは関係ありませんでした」という、生態屋がひっくり返るオチがついている(産卵パターンには違いがあると主張しているが)。Minor pointとして、統計解析もまずい。
 と、辛口に述べたてたが、休眠系統が非休眠系統より通常条件での飢餓耐性が高いという指摘と、それと体液中の脂質量との関連を論じた部分は興味深かった。また、随所で展開されるハエ休眠研究の「うんちく」披露がタメになったかもしれない。やっぱハエの世界ってのは進んでいるね。
 これは分子な人には当たり前なのかもしれないが、複数の野外個体群のそれぞれからisofemale lineを100個以上も作って交配実験したり飢餓耐性を調べたり脂質量を調べたりするやり方は、私には新鮮だった。
 
 総じて、「金持ちやなあ」「体力あるなあ」という印象。