街中にて

 休暇をもらい、電車に乗って街中に行った。広場の公園を歩いていると、昼間からお酒とタバコの臭いをプンプンさせた、白髪まじりの煮染めたオッサンたちが下卑た笑い声をあげながらたむろしていた。「いやなところに来ちゃったな」と思っていると、「それじゃーいっちょやっちゃいますか」とギターを取り出してジャカジャカやり始めた。「ウェイ」「イッヒッヒ」とはやす連中に頭がクラクラした。酔っ払って放歌する様は通行人も眉をひそめていた。

 僕もあまり関わらないようにしようと通り過ぎたが、背後から聞こえてきたのはミスチルのシーソーゲームだ。しかも上手い。こんなオッサンがミスチル?振り返ると、たしかに顔は老けて見えたが僕と同年代のようにも思えた。そうか、カラオケ世代だ!90年代に青年期を過ごしてきた者にだけわかる、あの感じだ。

 そうか、僕もこういう人たちと一緒にオッサンになってしまったんだと思って、少し落ち込んだ。カラオケブームはもう20年以上も前のことなのだ。笑い声を背にその場を去った。

世界中の誰もが業の深い生命体

過ちを繰り返す人生ゲーム

 

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前に行った店はなんとかコロナでも持ちこたえていた。