年賀状の一筆

年賀状は自宅で印刷したものを準備しているが、一筆書き加えるときが辛い。


「東京に行くときは会いましょう」

(いやっ、これでは東京に出ても相手に会わなかったら序列が下ということになって失礼に当たるのではないか・・・)

「調子はいかがですか?」

(いや、これでは暗に「調子がよくないでしょう?」といっているようなものだ・・・これは失礼だ)

「またおいしいものを食べさせてください」

(これではまるで相手がコックさんのようだ。なにかぼくが食に意地汚い感じもする・・・)

「いつまでも元気でいてください」

(いかん、まるでこれから元気を喪失することを予感させるではないか)

「また飲みに行きましょう」

(向こうは僕とは二度と飲みたくないと思っているかもしれない・・・忌まわしい記憶を呼び起こしてしまう言葉かもしれない。)

「遊びにいきます」

現代社会だから、「こっちは忙しいんだ」と思われちゃうかもしれないな・・・「こいつヒマなのか」と思われるのもシャクだ。それに、遊びに行かない場合は嘘になってしまう。)

「いい研究をしましょう」

(「なにその「上から目線」」って思われてしまうかも)

「行く機会があれば、そちらに行きます」

(これなら誤解がなく、正確に伝達できる。行かない場合にも対応している。だが、あまりにも当たり前ではないだろうか)



そして、さんざん呻吟した末、

「今年もよろしくおねがいします」

になったりするのだ。



だから

ぼくからの年賀状に

「今年もよろしくおねがいします」

とあった場合、そこに相手を思いやる気持ちと思い通りに書きたい気持ちの間に深い葛藤があったこと、そして言葉の裏に隠されたぼくの真意をくみ取っていただければ幸いである。

もう一筆はやめにしようかな。




今年もこのブログを見てくれて、どうもありがとうございました。
2011年の更新はこれが最終です。
皆様よいお年をお迎えください。
ではでは。