ツレがうつになりまして

映画よかったです。途中ちょっと泣きました。
最後の演説もよかったです。

(以下、妄想)

高崎幹夫 (ツレ)「お集まりいただき、ありがとうございます。
なぜ僕がウツになったか。ウッ。」
そのとき、高崎晴子 (ハルさん)の放った麻酔銃がツレの首筋を貫いた。
ツレは壇上で倒れた。
一同がざわめいた。

ハルは、おもむろに蝶ネクタイに仕込んだ変声機で話し始めた。

ツレ(ハル)「ようこそお集まりいただきました。みなさん。私はウツですので、直立が苦手です。こういう体勢でお話するのをお許しください。

ハルの床屋に来ていた書店の次男坊は自らの命を絶ちました。
これはウツのせいということになっていたはずです。しかし、真実は違ったのです。」

ふたたび会場のざわめきが大きくなる。

栗田保男「幹生くん、いったい何を言い出すのかね。彼は東京から戻ってきてすぐ死んだんだよ。」
栗田里子「あなた、いったい何がいいたいの?」


ツレ「私が病院に行ったとき、まっさきに接触してきた人物がいます。私はそのときからその人物に不信感を抱いていました。ウツの人が人に話しかける?怪しい。そんなことがあるものか。」

「俺のことかな。」

杉浦(患者)が不適に笑う。

「杉浦さん、あなたはなぜ私に近づいたのですか。」
「なにをって、単に待合室で出会っただけですよ。」
「いいえ、そうではありません。だって2回もですよ。ウツの人は同じ人と会うのを嫌います。だから怪しいです。」

杉浦は大仰に両手を開く。
「なんだろうねえ。ちょっとウツがよくなったからって偉くなったつもりかね。こんな講演会でこんな侮辱されるは初めてだ。僕はもう帰るとするよ。」

帰ろうとするところを背後から声をかける。
ツレ「あなたには私と接触する理由があったのですね。」

彼の足が止まった。

「貴方はウツのせいで離婚したといいながら、実は違った。あなたは仕事をろくにしなかった。私はスコットランド・ヤードに調査を依頼しました。すぐにわかりましたよ。そしてあなたの妻こそ、個展を開いていたあの娘だったのです。彼女はカイショなしの男より仕事をとったのです。」

会場がざわついた。
杉浦が振り返ってにらみつける。

「二人の関係はいっときは終わったはずでした。しかし、貴方はストーカーになり、彼女をつけまわした。そう。そして、彼女がハルさんと出会ったときに、貴方はうしろのテーブルにいたのです。ハルが自分のツレがうつであることを告白したとき、貴方はその後ろでその話を聞いてしまった。」

杉浦は黙っている。

「そこであなたはウツを装い、私と同じクリニックに通ったのです。」

ツレの兄が口をはさんだ。「まってくれ。一体なぜなんだ?」

「ゆすれると思ったのです。金をよこせ。会社にウツをばらすぞ、と。こういう男だからフラれるのです。」

「いいかげんにしろ!」
杉浦が叫ぶ。
「俺が犯人だといいたいのか?俺が見ず知らずの男をゆする?ハッ、なんのために。」

小畑(ツレの部下)「いったいなんなんです?もったいぶるのもいいかげんにしてくださいよ。だいたいこれはウツ克服の講演ですよ。」

ツレ「あなたにも動機がありますね」
小畑がびくっと身を震わせる。

ツレ「あなた、会社をやめた私に、もう会社はなくなったと言いましたね。でも、じつは会社はなくなっていなかった。」

上司の藤田が叫ぶ。「馬鹿な!ワシのいる限り会社は安泰だ!今年の純益はようやく黒字になった。君が勝手に後を追ってやめたのではないかね!大変だったんだよ!」

小畑の顔面は蒼白だ。
「そう。なのに、小畑君は会社をやめて電器店の営業になった。
なぜか?
その茶髪で、私にはすぐにわかりました。あなたが女好きだということを。
その目的は1つだけです。
そう。ハルさんのストーキングです。

ハルさんは小畑の好みの女性でした。
その証拠に、小畑は昼休みに僕の弁当を食べていました。
私がノドを通らない弁当をおいしそうに食べていましたが、実は私自信が作ったものだとは気づかなかったようですね。
小畑「!あれは愛妻弁当じゃなかったのか・・・ぐええ」

ツレ「小畑はチャラい変態でした。
でも、殺人を犯すほどの悪党だったかどうか?

杉浦は小畑がハルをストーキングしていることに気づきます。
杉浦は小畑を脅し、手下にしました。
そして、ハルを奪う計画を立てたのです。」

栗田保男「なんだか支離滅裂だね。」

ツレ「世の中そういうものです。

だが、ここで予想外のことが起こってしまった。
なんとツレがうつを会社でカミングアウトしたのです。
これは困りました。
一日中私が家にいては、計画が水泡に帰します。
あなたが慌てたのは当然でした。
私が会社から去るときに泣いていたのは、私のためじゃない。自分のためです。
貴方は根っからの悪党です。
茶髪ですし、チャラいですし。」

小畑はグウの根も出ない。

「杉浦と小畑は椿の木陰でハルを略奪する計画を話しました。
しかし、そのたくらみは隣の川路さんに聞かれてしまった。
物音でそれに気づきました。
それで二人はとりあえず川路をゆすることにしたのです。いきあたりばったりの二人です。
実は、川路には、過去に花泥棒の経歴がありました。
川路の生け垣の椿は特別きれいでした。
しかし、DNA鑑定の結果では、それは県立つつじ岡公園のものとぴったり一致しましたよ!」

川路はうなだれた。

ツレ「そのときちょうど、ハルが川路の家を訪れた」

一同が川路を見つめる。普段は人の良さそうな白髪の紳士は、しかし今は観念したように静かに瞑目して語り始めた。

「罪に意識に長年苦しめられてきた・・・本当のことを白状したかった。だが、本当のことを言えば、私は二人に襲われる。だから私は、なんとかハルさんに気づいてもらおうとした。それが花瓶だ。花瓶→割れる→ワレル→おそワレル。・・・だれにも気づいてもらえなかった。」

ツレ「そして二人は、ハルの部屋に侵入しようとしたが、そこに来客があった。・・・そしてこの男こそ、今回の事件の真犯人です。

最初に殺された人を思い出してください。
書店員です。
彼の部屋からは高価な漫画がなくなっていました。
そして、今回も漫画好きの私を自殺に見せて殺そうとしました。

犯人は、私がマンガ好きだと知っていた。
手塚治虫の初版の数点、そのマンガの価値は時価数万。
そのことに気づいていたのは、誰か。

栗田夫妻の部屋においていたマンガには価値がありません。よくある大衆紙。栗田夫妻はとてもマンガの価値のわかる人物とは思えません。ビッ○コミックが関の山です。

では私の私生活を知る病院の院長か。いいえ、院長は私がマンガ好きだということを知っていましたが、それほど貴重なマンガを所蔵している好きだということを知るとは思えません。

杉浦と小畑は小悪党でこそ泥で変態ですが、人を殺せるような人物ではありません。

では元上司の部長?いえいえ、彼は仕事人間。マンガなんぞ読みません。」

藤田「ビッグオールドは読むぞ」

ツレは無視して続ける。

「お隣の川路さんか?ノン。川路さんはのらくろ世代です。冒険ダン吉世代です。きっと手塚治虫なんて読みません。でも冒険ダン吉の初版とかあったらすごいですね。しかし、惜しいかな目利きではない。骨董屋をしていますがろくなものはありませんでした。これは彼に目がない証拠です。」

川路は震えている。


「そう。私がそれを持っていることを知るのは、家に入ったことのある人物だけなのです。
 しかしハルは漫画家、私はウツ。したがって、家に人を入れることはありません。

 しかし、この映画の中で、たった一度だけ人を家に入れた事があります。そしてその男こそ、書店の次男坊を殺した犯人でもあったのです。





 犯人は、僕のお兄さん。あなたしかいないんですよ。

だいぶ、なんか、私の脳はだいぶ何かに毒されているような気がします。
ひとつには、それは睡魔というものでしょう。