茶の湯の進化

『茶道所作の系統進化』
生物の科学 遺伝 2004年9月号:98-103
http://www.shokabo.co.jp/iden.html
眞岡哲夫

 茶の湯にはいろいろな流派があり、手順や行為(所作)が互いに異なる。この茶の湯の所作の時間的変化には、生物の進化との類似点があるという。すなわち(1)所作は、稽古という場を通じて伝承され、その頻度を増す。(2)手順が変わるなどの変異がまれに生じる(普通はお手前を通じてすぐにpurgeされる)。(3)意味のある行動連鎖は保持される。

 著者は文献データなどをもとに、細かなひとつひとつの所作にコードをつけ、それらの相関行列をもとに系統樹を復元した(生物の系統樹復元と同じ手順)。すると、大名家に伝わる流派のクレードと、それ以外のクレードがはっきりと分離した。全体でも、流派の系図と矛盾のない結果となった。

さらに面白いことに、武家に伝わる流れでは茶道所作の進化速度が速くなるという(武家はいいかげんだから?)。