ニュアンス

 

 執筆しているとささいなことのほうが気になるもの。校閲会社から送られてきた手引を引いてみたら、以下の例題があった。どちらが正しいか。

ロバートはたくさんの破局を見てきたので、結婚は失敗するという意見だ。

 

(a) Since childhood, Robert has seen many marriges collapse. Therefore, he is of the opinion that marriages are bound to fail.

(b) Since childhood, Robert has seen many marriges collapse. Accordingly, he is of the opinion that marriages are bound to fail.

 

Thereforeは論理的にしっかりつながっていなければならないので(つまり、数々の破局を見ていても結婚に前向きである可能性も十分あるので)(a)は少しヘンで、この場合は (b)のほうが正しいらしい。言われてみればそうかなと思うが、微妙な違いなのでnon-nativeには難しいところだ。だいたい(a)でも普通の感覚では間を補って因果関係を類推すると思うが・・・論文はロボットが読むわけではないので、まあいいじゃんなんて思うけど、たしかに厳密にはダメかもね。とはいえ、ああそうかわかったとaccordingを使うと英文校閲ではねつけられて他の言葉に直されたりするので、いろいろ難しい。

ああ、遅々として進まない。

 

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イスノキの虫こぶ(ゴール) 2019.11.8 高知県香南市野市町

11/25追記:同様のゴールをのこぎりで切断したら、大量の有翅虫と若虫が中に詰まっていた。

 

 

ホタル

 以前のブログで、アメリカに行った際に大きなホタルに感動した話を書いたが、その話を現地の女の子にしたら全くつれない返事しか返ってこなかった。興味ないわと言わんばかりである。 調べてみると、実際にアメリカではあまりホタルをあまり特別視しないらしい。「america firefly festival」くらいで検索するとホタルが舞う6月頃に歌って踊る音楽祭のページは出てくるが、「firefly watching」とかやってもホタルそのものを鑑賞するイベントというのはついに見つからなかった。ホタルを愛でない国民性に少しばかりショックを受けた。向こうでは蛍デートしないのだろうか?日本では宮本輝の『螢川』をはじめ、蛍が出てくる文学が多いが、その情緒も通じにくいのだろうか。個人的にはとてももったいない気がする。

 

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カクレミノのリーフマイナー(エカキムシ)から出現した、おそらくコマユバチの一種。

2019.10.26寄生葉を採取、出現11月上旬。高知県室戸市

楽しい思い出

今日は一般向けの一日公開の日でした。私はハダニの生態展示、イヌビワコバチと寄生性のオナガコバチのリアルタイム映像、ナナフシ、竹筒バチ、フシダニ標本の位相差顕微鏡像のほか、今年初の試みとして、土壌ダニ類とご家庭で作れるペットボトルのツルグレン装置を展示しました。今回は説明用のパネルを作る気力がなかったのですが、まあまあウケたと思います。しかし、ファミリーには土壌ダニは渋すぎたかもしれません。極彩色のチョウ🦋の後という順番は少し考える必要があるかもしれません。

 

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ヌルデのフシダニ寄生葉

高知県南国市物部 2019.11.2

 

室戸

先週末はアサギマダラのマーキング実習だったが、私はもっぱら一日公開の展示と講義に使う標本のことで頭がいっぱい。この時期にいろいろ予定を詰め込んだのはどうだったか。来年は分散させたほうが楽かもしれない。

 

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バクチノキというらしい。

 

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フウトウカズラ。アザミウマのゴールが見える。

 

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カンコノキのリーフマイナー。ハナホソガではなさそうだが……?

 

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先週の実習のスケッチ。カンザワハダニか。雌成虫。第一脚の毛を二脚に描くという痛恨のミスでヤル気をなくしたところ。

 

 

トートロジー

進化論がトートロジーだと言って話を難しくしようとする人があまりにも多いので。

もし、”十分な時間が経過した後に今を遡って見て、そこまで生き残っている生物がこれから進化する”とでも言えば進化をトートロジーにすることはなんぼでもできる。もちろん馬鹿げた定義で何も生み出さんけど。

 

進化論では適者が生き残るという。

でも、適者とは何かというと生き残ったものなのだ。

だから進化論はトートロジーだ。

 

…って言う人は、何というか、すごく純粋な人なんだと思う。一行目の適者とは、その時点で環境に適したものを指すのであり、二行目の指す意味とは明らかに異なる。言葉遊びに過ぎない。

 

まあ、そんなこと言っても”識者”が方々でシンカロンハウソダーデタラメダーと垂れ流しているから私の意見など大河の一滴。しょうがないのだけど。

 

進化論の骨子はシンプルきわまりなく、かつ、強力な説明原理であり、この原理が多様化を生み出すことは否定できない。あとは、この地球上の生物多様性”の全て”を生み出したことを信じられるかどうか。私は全てが説明できるという立場に立っている。だが、もっとも有能な知り合い達でも普通にナイーブなトートロジー説を言うので、それが不思議なことである。

 

 

 

 

 

 

 

帰路

富山での交流は楽しいとともに、自分のふがいなさを感じる旅でもあった。帰りの新大阪で買ったじゃりン子チエを読みながら、揺れる南風特急でウトウト眠りについた。家で「おいテツー!」とか「どついたるねん!」とか子供に読み聞かせをしたら取り上げられた。いい話なのに。

 

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飯テロ

 

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昨日のブラックラーメンは意外とあっさりしていてスルスルいけてしまった。屋号はいろはだったかな。

 

明日の学会発表はさっき3回くらいリハしたけどイメージがつかめない。せめて格好だけでもつけばいいのだが。いまさら考えてもしかたない。終わってしまえば鱒寿司と地酒を買って帰るだけだ。

 

 

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アララギナミハダニ Tetranychus ezoensis の跡か?そうなら初めてだが。

 

身軽

富山へ学会出張中。駅前は多分25年ぶり2回目か、あるいはもう一回くらいあったかもしれないが思い出せない。1回目はみんなで白山に登ったとき。ほとんど覚えていないがこんなに駅前は開けていたかな。白山のお花畑はきれいだったはずだ。膝を痛めてから久しく登っていない。リーダー格だった彼はこの前病気で死んだ。そういう年になったんだな。

追記    記憶違いで、富山にきたのは立山に登ったときらしい。このときは単独行で、こちらも素晴らしかった。雪の残る稜線とコマドリの美しい鳴き声は記憶に残っている。ブログによると2007年に富山駅は再訪しているらしい。

 

今回は特に役も当たってないし発表ファイルは事前回収なので、ノートパソコンを持ってこなかった。身軽。こんなに楽だとは思わなかった。論文や原稿を持ってきたからむしろ仕事も進む。この先もそうしたいけど、最近はパソコン持参の学会が多いから難しいか。

 

 

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素晴らしい!😆

 

地酒は

立山 スッキリ

満寿泉 フルーティ

羽根屋 生酒 新鮮

といった感じで、美味しかったので少し量が過ぎたかもしれません。

@風の北前や

 

ダニ取り

学生と一緒にハダニとりをしてきた。筆山から宇佐、伊野まで回って12,3種の収穫があった。しかし、暑い!伊野の道の駅の上でも31度あった。もっとも、暑いほうがサンプリングした気になる。帰りは三時ごろになって、バイパス沿いでラーメンを食べた。細麺であっさり塩味で、疲れた胃に沁みた。たまには机を離れて野外に出たほうが、考えが凝り固まらなくてよいようだ。

 

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横浪半島

 

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むくのき。ムクノキハダニがつく。この虫の生態はよくわかっていない。

 

 

 

ズボンが苦手

正確に言えば店頭でのズボン選びが大の苦手である。正直、どれも同じに見える。

 

今日も五年ぶりくらい、試着で一着合わせて、ちょっと股下が長いくらいで裾上げも面倒だったので「じゃあそこに並んでるやつ全部ください」(人生におけるズボン選びの回数を最少化するため)と言ったら、店員さんが慌ててサイズはほんの少しずつ違いますから裾上げしますとか言うので、これ全部裾上げなんてありえないので、「じゃあこれ一着でいいです。裾上げもいらないです。」と言ってしまった。

 

かくて、最速で買い物をして、欲しくもない色のズボンを買い取る羽目になった。どうせ丈が長いなら色くらいは選べばよかった。

 

妻が店員さんに、すそ上げしてもらって後日引き取りに行きたいと言っていたが、非効率の極みで絶望的な気分になったので、すまないがそれは却下してもらった。

 

帰り道、ツンツルテンか長すぎるズボンを履いている人は、効率的な生き方をしている人なのではないかとふと思った。

 

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f:id:spidermite:20190914223138j:image明治大正

f:id:spidermite:20190914223249j:imageカイコ

越知町の養蚕展。高知の山中では養蚕が盛んだった。