ヤブニッケイ続き

 ヤブニッケイのことを間補足しておきますと、これはクスノキ科の植物です。ニッケイ属はシナモンで有名ですね。近縁種の樹皮から作られます。漢方薬だと桂皮と言うものになります。昔から使われているスパイスの1つで、人間と関係が深い植物です。

 クスノキ科の植物は体の中にテルペノイドをたくさん蓄えているのですっとする匂いがします。それを抽出して昔は防虫剤などに使われていました。成分の樟脳(しょうのう)が昔のタンスの中に防虫剤として入れられていました。

 クスノキ科の最も代表的な植物はクスで、街路樹ですとか庭木とかによく植えられています。ヤブニッケイもよく見る植物ですがこれは少し山のほうに行かないといけません。目立たない植物です。普通に歩いていると素通りしてしまうんですけどクスにそっくりな三行脈の葉っぱが出ていることでわかります。クスと違ってヤブニッケイは枝が地面と水平に出ています。ヤブニッケイは基本的には野山の植物ですが、この前行った神社では社寺林に大量に植えられていたと言うこともありますし、苗も販売されています。

 ヤブニッケイにはキジラミがつきますしアザミウマなどがいます。このような昆虫は化学物質による防衛を打破しているということです。一般的にクスノキ科の植物っていうのはあまり虫がつかないのですが、それしか食べないスペシャリストの昆虫(例えばアオスジアゲハなど)が見られる点でも特徴的です。

 後は大きな違いとしまして、落葉の仕方がだいぶ違います。クスは葉っぱの寿命は1年と言うことで、春に新しい葉っぱが生えてくるとともに古い葉っぱはほぼ全て落ちてしまいます。つまり葉っぱの寿命は1年です。一方、ヤブニッケイは5年ぐらい葉っぱがついています。そういう点でヤブニッケイの葉っぱの方が昆虫にとっては安定した環境と言えるのではないでしょうか。この辺も、今後の研究のテーマにしたいと思っている部分です。

f:id:spidermite:20210410011133j:image 2021.4.1 満濃池

f:id:spidermite:20210410004759j:image土佐郡 2021.Apr.

葉はクスより硬い。枝は地面と水平は張り出す。林内では低木が目立つが、場所により高くなる。