山中教授の動画を見たのですが、その中の「オーバーシュート」って何?と不勉強ながら思ってしまい、説明を聞いてみた。
2〜3日のうちに数が倍増というのは、どんなものでしょう。簡単な計算ですからやってみましょう。面倒な人は式をとばしてください。
だたし、t は時間、x は個体数、a は瞬間出生数、b は瞬間死亡数。a, b >= 0。
が初期個体数、rが瞬間的な増加率を示します。r = a - b > 0 なら指数増殖です。個体数が倍になる時間は倍加時間と言われ、最後の式の左辺をにすることで求まります。を約分して、
より、
あるいは
つまり、3日で倍になるという場合、
2日の場合は0.35となります*1。これらの増殖率は農業で言えば温室ハウス内のハダニ、アブラムシなみの数字で、早急に防除しないととても太刀打ちできません。冒頭の定義で
欧米で見られるように爆発的な患者数の増加を示すが、2日ないし3日のうちに累積患者数が倍増する程度のスピードが継続的にみられる状態を指す
ということを述べていますが、確かに「倍増が見られる」状態になったらもう本当に手遅れです。目視できる前に防除しないといけないのですが、 有効な手段が「なにもしない」というのがもどかしいところです。
逆に、オーバーシュートの限界値を設ければ(資料を見ていないのであるのかわかりません)、これまでの増え方からパラメータを推定してオーバーシュートまでの時間が求まるわけですね。
星新一のSF『午後の恐竜』で、パノラマ視現象を見た科学者が「恐ろしい計算でやる気にもなりません」と言うわけですが、なんかそれを思い出してしまいます。