私にとっての最終日はAstigmata、いやはや、やっぱりこのタクサには手を出さないでおこう。危険すぎる。
最後ということで、みんなでバーベキューしましょうということになった。みんなノリノリである。
アメリカ式のバーベキューってどんなんだろう。巨大なビーフを焼くのか?
だいいち、このへんに河原や公園はない。どこでバーベキューをやるのだろう。
みんなについていくと、坂の下に店があって、みんな中に入っていく。ここで食材を売っているのか?
と思ったら、ひとりひとりがカウンターで肉だとポテトだの注文していくではないか。それを炭火で焼くのか?だが、店のテーブルに金網やコンロはない。
私は列の後ろにまわってみんなの様子を見ていたが、注文が早口で聞き取れない。とうとう私の番になってしまったが、メニューがスラングだらけで全くイメージがわかない。
こういうときの鉄則は「一番上を頼む」だ。ハンバーガーとポテト。あとビール。
なんだ、自分で焼くんじゃないのか……と少しテンションが下がる。
しばらくして料理が運ばれてくる。
(食べかけですみません)
うん、うまい!
みんなで机を囲んで楽しくおしゃべりをしました。
・・・バーベキューか、これ。
えええ、みんなでバーガーを食ってビールを飲むだけか。じゃあ河原で家族連れや若者がやっているのは英語でなんていうの?家族でバーベキューに行くぞーって言ってハンバーガー屋に行ってビールを飲んだら悲しくないか?
いやしかし、さすがはアメリカ、ハンバーガーくらいと思っていたが、付け合せのチップスが重い。後半はかなり苦しい。無理やりビールで流し込む。
ふと横を見ると、みんな残しているじゃないか。お残ししてもよかったのか。そうか、慌てて全部食うことはなかったのか。
ひとりの女性がやおら立ち上がってカウンターの店員になにやらささやいている。彼女はテイクアウト用の箱をもらってきた。
「お持ち帰り!そういうのもあるのか。」
という漫画のセリフを心の中で叫んでしまった。まさか「バーベキュー」でテイクアウトをするとは。
謎は深まるばかりだが、もうタイムリミットだ。
みんなとももうお別れである。おそらくほとんどの人とは二度と会わないだろう。検疫所に勤めているというチリ人の男はハグして別れを惜しんでくれた。彼は家族と離れて、基礎コースからみっちり3週間もここにいるらしいから、さぞかし寂しかろう。
メモ:
検疫 quarantine クォランテイン
(本当に発音しにくい。)