Eryophydaeなど

いよいよ滞在も先が見えてきた。いよいよ最後かと思ったら、またドサッと二冊目のテキストがきた。すごいテキスト量だ。周りは若いから熱心でいいけど、おじさんはもう少ししんどくなってきています。正直。

 

 今日はChetverikov先生によるEriophyoidea (フシダニ上科)の講義、野外採集と標本制作。標本制作なら楽勝だろう……と思ったら、やはりハダニよりサイズがだいぶ小さく、つぶれやすいこともあって、なかなか虫体を拾い上げるコツがつかめない。となりの若いマーカス君に気を使わせてしまった。それでも何回か練習すればなんとかなるもので、つぎつぎ封入することができた。あとは一晩加熱。細工は流々、仕上げをごろうじろ。フシダニの場合はホイヤー液じゃなくて、体の構造の見えやすい赤黒い封入剤(名前忘れた)のほうがいい、とのこと。なるほど。

 フシダニの採集方法はいくつかあるが、びっくりしたのが植物体をボトルに入れて、洗剤とブリーチの入った水を注いでシャモジで3分間かき回し、その液を目の荒さの異なるふるいにかけて、落ちてきた残渣を拾うというものだ。ダイナミック!ただ、器材が必要なのが難点か。同様に植物体とエタノールを蓋付きの容器に入れて、バーテンダーのようにシェイクする方法もあって、こちらのほうが楽かもしれない。上記の方法は多くのサンプル個体がとれるが、後から標本用に拾い上げるのが大変なので、普通に目視で生きているものを柄付き針で取るのが個人的には一番楽なようだ。研究者はダニの種類によって使い分けるそうだ。

 講義で興味深かったのは、Eriophyoideaの深部系統は謎が多いということで、最近の中国グループの分子系統樹ではハリナガフシダニ科(Diptilomiopidae)が多系統になるそうで、またも形態形質による分類体系と分子系統の不一致が報告されているそうだ。ただ先生はこの結果には懐疑的であるようだ。

 フシダニは何億年前からの琥珀の中からも報告されていて、その姿が現在とあまり変わっていないのが驚きである。

 

炎天下で採集したせいか、今日はあまり食欲がない。

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サンタフェ・スタイルのサラダボウル。クリスピーでいける。