ああ無情

 
 なんと、長年定点観測していた街路樹が皆伐されてしまった。かれらは狙い撃ちのようにアラカシの木だけを切っていってしまったのだ。伐採された跡は無残にも歯抜けのようにヤマモモやサクラだけになった。いつも晩秋にドングリを拾っていたけれど、その風情はすっかりなくなってしまった。切り株から見て、樹齢は15~20年というところだろうか。
 
 私に恨みを持つ者の仕打ちだと思っている。時々来るのが気に食わないので、私の調査する樹種だけ狙って全部切ってしまったのだ。なんと安直な解決方法だ。
  
……という話をヨメにしたら笑われた。病気だったからじゃないの、という。
 
 馬鹿を言わないでほしい。ハダニ、ホソガ、アブラムシ、カミキリなど、多種多様な植食者が持続的に発生していて、樹勢はともかく観察・採集にこれ以上の好適な場所はなかったのである。
 そこらへんをご考慮いただき、何卒ご再考ねがえないでしょうか。といっても、もう手遅れなのですが。