r と K を感じて

 講義で生活史戦略の話をしとる。あらためてr−K 戦略の話をしようとすると難しいことがわかる。とくに K のほうは説明しにくい。そもそもなしてK戦略と名前がついているのかを説明するくだりは、精進が足りぬせいか多少のごまかしを伴ってうしろめたい。多くの教科書にあるピアンカの二元表はかなり強引な気がするし、あれを細かく説明しだすと高確率で学生が (つ∀-)オヤスミー になる。なしてあんな生活史形質が進化するのか、というところは、本来なら私が原著やその周辺の文献をしっかり読みこまないといけんのだろうけど(あるいは、タイムスリップして個体群生態学華やかなりし何十年か前に自分の身を置かねばならないのだろうけど)、なかなかできないでいる。時代はマッカーサー・ウィルソンの時代をはるかに超え、ほとんどr-K説をdisっている本しか手元にない状態で r-K の講義をするというのもなんかヘンな話である;しかし仮想敵を知る上では意味があることだと思う。講義後に「そんなん条件によっていろいろ変わるやん」という至極全うな感想が聞こえて、かえってうれしかったりもする。

 K に比べるとr戦略者は比較的素直に学生に受け入れられるようである。これは撹乱環境で増殖率を最大化するという点で納得はしてくれるようだ(ただ、私に言わせるとナミハダニなんか安定したワールドで進化しつづけていると考えているのだが r 戦略とされている)。安定した持続環境では最終的に K がrに勝つ、というのも言葉だけではいまひとつわかったようでわからない説明になる。では競争方程式を使いましょう、パッチモデルを使いましょう、では阿鼻叫喚をもって受け止められることだろう(そもそも私がヘボい説明しかできないと思う)。私の説明では今のところいくつかの不連続面が存在するので、勉強してそれを自分なりにできるだけ解消したいとは思う。

 もはや歴史の遺物という感じもしないではない---しかもそれほどわかりやすくもない---この区分だが、いまだに教科書に残っているところを見ると、よほど「愛されている」に違いないと思う。(院生時代、マッカーサーの地理生態学を3人で輪読したときもひどく難解だった記憶がある)


 なお、K-selectionで検索したら輸入車のサイトがヒットするんだね。知らなかったよ。