切符


鉄子の旅』第16旅(四国)



朝、ホテルで片付けをしていて、ふと気づいたら、
学会の講演要旨、プログラム、学会・ホテルの領収書、帰りの乗車券、特急券、メモ、その他一式入ったクリアフォルダ。

一式、ない(笑)。
ふー。どうせ懇親会会場に置き忘れてきたんだろうな。
どうせ学会会場にいけばあるだろう(お気楽)。

んで、受付で昨日忘れものがなかったか聞いたら、予想に反して「ない」と。

ここに至って、事の重大さに気づいたが、とりあえずここはもう講演会場であるから、ポーカーフェイスを装って講演を聞く。
合間にホテルに電話しても「ない」と。

駅の忘れ物コーナーに聞いても、ない。
あきらめきれず、みどりの窓口で粘ってみる。

「僕は切符を昨日まで持っていたんだ。だが今日見たら、ない。予約はしていたのは明らか。今僕にある問題はただここに切符がないだけなんだ。こういう場合でも買い直さないといけないもんですかねえ。」

と食い下がってみたが、
「そうですね」
と、つれない返事。敗北。

かくして、切符買い直しである。無念。


おみやげの駅弁(祭りずし)を夕食で食べながら繰り言。

僕「昨日の晩、駅前にスケボーに乗った若い兄ちゃんがいたんだ。茶髪だったから悪い連中さ。あいつらが怪しい。ホテルに向かう俺に狙いをつけたんだ。俺の背後のザックのチャックが半開きになっているのを見つけて、後ろからすっとにじりよって隙間からファイルを抜いたんだ。手慣れたもんさ。俺はワインを飲んでいたから気づかなかったんだ。やつらの狙いは中の乗車券だ。払い戻してパチンコに行く金を手っ取り早く手に入れたいと思ったんだ。それ以外じゃ説明つかないって。懇親会場にはあったんだから。」
妻「絶対どっかで落としたんだと思うよ」



 智頭
 箸蔵


さらにダメ押しで
「何年も前から聞きたかったんだけど、今後の研究にどういう方向性を目指しているわけ?」
とナイーブな心を逆撫でするような質問をカウンターアタックされてむぐっと言葉に詰まるしかなかったわけで、学会は気晴らしになったけど、なんか無性に腹が立った、という一日でもあったわけで。