なにもしないIII

大航海時代というゲームもやった。
自分が船乗りになって世界をまたにかけた国際交易をして名声を上げていくゲームであった。
(もうやめてという声が聞こえてきそうである。)

王様にたのまれたお宝を探して
ようやく手に入れて凱旋するときに海賊に襲われた。
「彼は大海原で海のもくずと消えた」という夕焼け色のもの悲しいエンディングが印象に残っている。

人に指図されるのはいやだと気づいて海賊として生きようともした。
武装して相手の船にツッ掛かっていったら商船ごときに負けた。
遠洋に出ればどうやっても大海原で海のもくずと消えた。

僕は近海のチンケな取引で利ざやを稼ぎつつ、街の酒場でチンピラ相手にブラックジャックミニゲーム)ばかりするようになっていた。
もはや海を渡って王国に戻る気力はなくなっていた。
もう僕はここで住むのだ。
そしてザマアミロって気分になるのだ。
あるとき日本の酒場で女に言われた。
「ドミニカであなたに会いたがっている人がいるそうよ」
なんでおまえがそんなことを知っているんだ。
なにもしない。
僕はもうなにもしないのだ。
会いたがっている人がいようが関係がない。
名声が下がろうがもうどうでもいいのだ。

突然アメリカがどうなっているか見てみたくなって
太平洋を横断している時に
そのままハリケーンに巻き込まれて大海原で海のもくずと消えた。
いやになってそれ以来あのゲームはやっていない。
そもそもあのゲーム、とうとう目的すらわからないままであった。
なにをすればクリアなの?あれ。

そう、たぶん僕はヘタなのだ。この手のゲームが。