今週ゼミ

空振りした実験の発表。

カンザワハダニの発育日数と他形質との相関

 カンザワハダニは機会的な種と考えられおり、好適な環境では急激に増殖する。このような性質を持つ生物では個体群増殖に関わる内的自然増加率(r)に強い選択圧が働いていると考えられる。発育日数はrに影響する生活史パラメータの一つである。いくつかの昆虫類の研究では、発育日数は季節適応形質(休眠・移住)とトレードオフの関係にあり、rに及ぼす影響が単純でないことが示唆されている。また、発育日数に母性効果が関与する例がいくつか知られており、これもrに影響を及ぼすと考えられる。今回の発表ではカンザワハダニを用いて、発育日数と休眠形質との相関、および母性効果の関与について調べた。
 Half-sib analysisでは相加遺伝分散より母性効果の影響が強いことが示唆された。この母性効果を生み出す要因として、寄主植物の質が考えられたので、親世代の幼虫期・成虫期の餌条件が卵の発育日数に及ぼす影響について調べた。しかし、餌条件は産卵数に影響を及ぼしたものの、子世代の発育日数に及ぼす影響は認められなかった。また、split-brood実験の結果、発育日数と休眠形質との間に遺伝的な相関は見られなかった。
 これらの結果から、いくつかの昆虫類とは異なり、カンザワハダニの発育日数は休眠形質と独立な遺伝子群の支配をうけていると推察される。この理由を考えてみる。

 研究室のメーリングリストで回したものだが、「この理由を考えてみる。」って我ながら適当やなあ。実際まだ考えてないし。今日の発表を見ると、こういうアプローチはやはり根元の発生や遺伝子を押さえる方向に行かないと難しいのかね。