宮竹講義

岡山大の宮竹さんの集中講義1日目。
ミバエ根絶秘話、および時計遺伝子と種分化の関係についての話。↓このへん。
http://www.agr.okayama-u.ac.jp/LAPE/miyatake/ReseachJP.htm#kadai1

午前
・概論
・『プロジェクトX』ウリミバエ根絶
午後
・ウリミバエの根絶・・・不妊虫放飼
・交尾時刻の変異に対する人為選抜・・・発育日数との遺伝相関(
増殖効率とコンフリクト)
・時計遺伝子per,timelessとの関連・・・遺伝子レベルの解析(理解できず。Gardenerとかはここに食いつくんだろうなあ)

 試験場(いわゆるミバエ工場)でミバエを飼育していくと、野外個体群と行動や生活史がどんどんかけ離れてしまう。ここまでなら虫を材料としている人なら経験済みのことなのだが、ここで交尾時間の変異に目をつけてひたすら選抜をかけ続け、他の形質との遺伝相関を通じた種分化の話まで持っていってしまったところにセンスと力業(わざ)と気の長さを感じた。不妊虫放飼の傍ら進化研究をする(逆という話も・・・)のは大変だ。こういう選抜実験は進化の直接証拠になるので、もっと評価されてもよいと思うのだ。
 昆虫部屋で雑談したのは、これを野外で「適応度」というものと結びつけるときにどうすればよいか、また、遺伝相関を宮竹さんのように「制約」と考えるのではなく、それ自体進化するものとして考えるときどういう帰結になるのか、ということ。しかし、それを「検証」するのはもはや形而上学的な作業であるだろうか。
 
 実は私が一番気になったのは、内容よりも、「『博士に行っても中くらいの能力じゃ就職ないよ』と指導教官に言われたので県に就職しました。」のくだりだったりする。