Jeremy N. McNeil氏の講演

 アメリカ大陸で渡りをするヨトウガの話をしてくれた。研究しているうちに、プエルトリコで採集した個体群の遺伝子頻度が、ほかの場所で採集されたものと全然違うことがわかった。調べていくとホストレースになっているらしいのだが、それを維持しているのは何だろう、という話。McNeil氏は生理学専攻なので、フェロモンを介したホストレースの隔離があるのか、という実験について主に話してくれた。
 系統間で性フェロモンを発する時間帯が異なっていたり、ブレンド比が違っていたのだが、ケージ実験ではフェロモンを介したはっきりした隔離はない(すなわち、ある系統のオスが排他的に同系統のメスを選ぶことはない)。
 交配実験でF1雑種のフェロモン放出時間帯は父親の系統を受け継ぎ、フェロモンの成分は母親の系統に由来することがわかった。

 研究は進行中のようで、まだ決定的なデータはないようだが、大変おもしろかった。英語はききとりやすかったのだが、それでも理解がおいつかなく記憶が虫食いなのが残念だ。最後に1つ質問したのだが、だいぶ間の抜けた質問になっていた気がする。最後、たどたどしく話をして、論文の別刷りをずうずうしくねじこんだ。

 昨日も書いたが、McNeil氏は以前に寄生蜂の休眠研究をしており、hostの状態や母親の齢が子の休眠率に影響することを発見している(McNeil & Rabb, 1973 J. Insect Physiol. 19: 2107-2118)